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  • 執筆者の写真千葉 芽弓

つるんと水羊羹と仙太郎のお話

暑中お見舞い申し上げます。35度を超える気温と、熱中症危険アラートの日々が続いていて、地球は大丈夫だろうか?と心配になります。


スイカやきゅうりなど水分をたっぷり含んだものが特に美味しく感じられるこの頃ですね。夏のお菓子といえば、やはり和菓子。


焼かない、粉を使わない、つるりとみずみずしい水羊羹や、くずまんじゅうなどは見た目にも口当たりにも涼を運んでくれて、日本人の季節に寄り添い愛でる感性は素晴らしいなと改めて感じます。



島国日本だからこその、和菓子に革命を起こした寒天。


寒天とは、天草やオゴノリといった紅藻類から抽出した食物繊維で、植物性100パーセントの乾物です。かつて羊羹は小麦粉などを餡子にまぜて蒸した蒸し羊羹しかありませんでした。


寒天の発明で粉を使わずなめらかで、従来とはまったく違う食感であったり、つなぎになるため美しい加工の和菓子が作られるようになりました。


寒天の起源は、京都の旅館で、ところてん料理につかった残りを寒い冬に外に出しておいたものが凍りついて、それが昼には水分が溶け出して繊維だけが残ったため、水を加えて煮るとまた溶けて固まることを発見。しかもこの工程を繰り返すことで海藻特有の生臭さが抜けることがわかり、そこから研究をして今の棒寒天、糸寒天などが生まれたそうです。


寒天は食物繊維たっぷり、カロリーはほほ無いため、とてもヘルシーなもの。


和菓子は薬効効果も高い小豆や寒天、餅米などで作られて油を使うものは殆どないことも世界に誇れるギルトフリースイーツです。その滋味深いおいしさと美しさはこれからもっともっと認知されていってほしいものです。


私のおすすめ「仙太郎」



繊細で華美でないのに奥ゆかしく美しい。京都の老舗和菓子屋さんの仙太郎。かれこれ十数年来のファンです。


「身土不二」を提唱し、古くからサスティナブルと健康について考えられた和菓子の伝統を守り無添加でら作り続ける仙太郎は、自家栽培や地元京丹波の小豆をはじめ国産材料にこだわり、甘味は北海道のてんさい糖を使用しています。


包装や袋にも屋号を入れない、宣伝にお金をかけないというモットー、そして味と品質には妥協がないこだわりと信頼で、愛用しています。仙太郎といえばおはぎや最中が有名ですが、季節ごとのお菓子も楽しみのひとつ。今の時期は水羊羹が絶品です。


ひんやりつるりとした喉越しと小豆の雑味のないかおり、やさしい甘味。保存料も添加物も一切使わないので、日持ちがしないので手土産には難しい時もありますが、それこそ本物!

ぜひ一度召し上がってみてくださいね。


仙太郎でお菓子を買うとついてくる「仙太郎の独言」

その文面に毎度頷き、感動し、私も同様に切に願うばかりです。


私共のつくる和菓子は、感性に訴えるよりも、まず機能を第一義に。

経営志向よりも、人づくり、物づくりを上位に置く。

"美しい"よりも"美味しい"を大切にする。

おいしとは、体が欲しがる状態のこと。体を養う正しい食べ物のみが本当の意味でおいしいと言えるのではないか?

そして自分と生まれ育った処の風土が育むものが一番体になじみやすく、体にやさしい、すなわちおいしい。

むつかしい言葉だか、それを「身土不二」と称す。

近くの産物、丹波、近江、大和、但馬…せめても国産の原材料に拘る。

農業の空洞化を阻止する為にも…"


昨今の和菓子離れで老舗の和菓子屋さんの廃業などを耳にすると本当に悲しくなります。暑い夏のおやつに、水羊羹と冷たい緑茶を風鈴の音色と、うちわをあおいで日本の夏を楽しんでみませんか?



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