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  • 執筆者の写真千葉 芽弓

イチョウと銀杏(ぎんなん)

都心の街路樹が黄金色に染まり、この時期の青空とのコントラストが美しいイチョウ。落葉樹のイチョウは、葉を落とす前に美しい色で街並みや、神社仏閣や公園を彩ってくれます。


神宮外苑や丸の内のイチョウ並木など、有名なスポットも多々あります。クリスマスイルミネーションも美しいですが、自然の摂理で色づくイチョウの黄色は本当に素敵ですよね。


今はイチョウのじゅうたんが歩道に敷き詰められ、それもまた美しい初冬の風物詩です。本来はもちろん秋の風物詩で10月から11月が見ごろだったイチョウですが、イルミネーションと重なるということはなかったのですが、年々葉を色づかせて落とすのが遅くなっており、今では冬のはじめの風物詩になってきています。


イチョウの木は、恐竜の生息していたジュラ紀からある生命力の強い太古の樹木です。世界最古の現生樹の一つともいわれ、「生きている化石」と国際自然保護連合(IUCN)に絶滅の恐れのある野生生物として絶滅危惧種のレッドリストに挙がっているのだとか。現在は人の手で植えられ、守られているイチョウ。大気汚染や虫、菌にも強く、厳しい環境下でも生きることができると言われているそうです。



イチョウの実の中の固い殻に包まれた胚乳種を銀杏(ぎんなん)といいます。イチョウの木には雌と雄があり、実がつくのは雌の樹木のみ。果肉はご存知のようにとても臭く、その中に守られるかのように包まれているのが銀杏(ぎんなん)です。


鳥や動物に食べられないよう大切に守られているのかと思いきや、実は絶滅の危機の中、進化し、臭いの強いものを好んで食べる動物に食べられることで、種が守られ内臓の中で発芽し生き延びたと言われているそうです。銀杏の旬は9月後半から12月まで。名残の銀杏を食卓で楽しみましょう。


銀杏の効能


頻尿を治すと言われる銀杏。中国では結婚式の日に新郎新婦が銀杏を食べる風習があるそうです。式の最中にお手洗いに立つことがないように、という意味と、イチョウの木の生命力にあやかり子孫繁栄を願うからだそうです。また、咳や痰、喘息、結核にもよいと言われており、漢方薬に銀杏をつかった咳止め薬があります。頻尿や夜尿症、帯下には一日5~7個の銀杏を炒って食べると改善すると言われています。


銀杏にはでんぷん、たんぱく質、脂質、カリウム、食物繊維、ビタミンA・B・Cの他、マグネシウム、リン、鉄分などミネラルも豊富で栄養バランスもよいものです。ビタミンB1が多く含まれており糖を代謝し、疲労回復や、脳や末梢神経を正常に働かせたり皮膚や粘膜の保護を高めてくれる作用があるそうです。いちょうの葉エキスといわれる「ギンコライド」には強い抗酸化力で血流改善や認知症予防効果、冷え性や肩こりの改善、アレルギーの緩和に役立つと言われ、サプリメントも多々出ています。


銀杏料理を楽しもう


■素揚げ

とんかちで割る、銀杏割りで割る、いらない紙の茶封筒に入れて開封口はしっかりと折り込んで電子レンジで30秒ほど加熱するなどで殻をむき、なたね油などで素揚げすると、薄皮もすんなりとむけます。


松葉に刺して焼き物に添えてもとても美しいです。



■炊きこみごはん

きのこと一緒に炊きこんで。昆布を1カケと、しょうゆ、塩、日本酒を少々入れて炊く。

おこわや中華ちまきにも銀杏の相性はぴったりです。



■その他


茶碗蒸し、飛竜頭、擬製豆腐などに入れたり、中華料理の炒め物に使われたり、また、その美しい色とフォルムが、日本料理での季節感の演出にも使われることも多い食材です。


可食部の仁の部分をくるも臭い果肉部にはアレルギー成分があり、かぶれたりすることもあるので素手で触るときは気を付けましょう。また、銀杏もビタミンB6の作用を妨げるメチルピリドキシンという中毒性のある物質が含まれているため、食べ過ぎには気をつけなくてはいけません。特に小さなお子さんや、ペットなどには気を付けて、子供は5個以内、大人は10個以内を目安にするとよいそうです。


また、保存する際は乾燥すると実が乾燥して固くなってしまうため、しっかりと密閉して冷凍保存するか、冷蔵庫には濡れ新聞紙で包み、ジップロックのような密閉袋に入れて保存してくださいね。


イチョウの花言葉は「荘厳」「長寿」

縁起にあやかるよう、木を愛でたり、銀杏をいただきましょう。

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