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  • 執筆者の写真千葉 芽弓

「ワタミオーガニックランド」の壮大な挑戦

~日本初のオーガニック・命をテーマにした環境配慮型農業テーマパーク~


2011年3月11日。東日本大震災の津波により陸前高田市は8割以上が水没し、1606人の死者、202人の行方不明者と甚大な被害を受け、壊滅状態となりました。あれから10年、生まれ変わる陸前高田市。



そこには沢山の支援と地元の方々の強く前向きな心と絆があります。その一つにワタミの渡邉美樹社長が、当時の陸前高田市長の鳥羽市長から、「助けてほしい」と要請を受け、震災直後から炊き出しや募金などボランティア活動や、復興まちづくりイベントの開催などをしたそうです。


2012年には陸前高田市に全国の弁当の受付コールセンターを設立。津波でさらわれた広大な土地は25へクタール。かさ上げされた旧市街地の土地は、計画がなければそののままになってしまう。伊賀のもくもくファームのようなオーガニックタウンを作ったらどうか。という構想をもとに、マイナスからスタートしました。



ワタミとオーガニック農業

渡邉社長は居酒屋「和民」をオープンした今から30年前に、お店で使うレモンサワーのレモンの農法が気になり、自社農場のワタミファームを作り有機農業をスタート。お客様に安心安全な食材を使った料理を提供したいという思いで、有機農業の発展と、循環型社会の想像を目指してきています。



昨今のSDGsやサスティナブルといった潮流のはるか昔から、循環型社会と持続可能な地球への取り組みを先駆的に行ってきている素晴らしい企業です。



ワタミオーガニックランドのビジョン

ワタミオーガニックランド株式会社の代表取締役兼ワタミ株式会社 執行役員の小出浩平さんに園内を案内いただきました。



東京農大の土づくりの先生にアドバイスをもらいながら地道な土づくりからスタートしたワタミオーガニックランド。津波でさらわれて土のなくなったこの地。土は1㎝の表土を形成するのに100年もの月日がかかるそうです。そのため、目の前の田んぼは8年かけて整備されようやく再開しました。



園内には元気に、多種多様なオーガニックのお野菜たちがすくすくと育っていました。



こちらは、カチカチの土の上に、必要最小限の土のポットのような物に入れた葡萄の苗木。”根域制限”という手法での栽培で、ここを葡萄畑にしようと栽培をスタートしています。このエリアは比較的温暖で食にも恵まれているため、育てた葡萄で”テロワール”の象徴であるワインづくりを将来的にしていくそうです。


およそ葡萄畑とは想像できない今の姿ですが、この先、ぶどう畑の上にはソーラーシェアリングを設置し、2022年4月には自然エネルギー発電にシフトし、全体をまかなうことを目指しています。土も水も、全てが当たり前ではない。だからこその全てに感謝を込めた「いただきます」という言葉の重みを改めて考えさせられます。



命のもとは森林にある


ハウスには、地元の気仙杉の木を使い、敷地内には産廃として捨てられる木の皮を引き取り敷いています。地元の天然木材を使うことは地域内の循環に繋がり、山の健康になります。

山が健康であれば災害に強く、山の養分が海や川にしみ出すことで海の栄養バランスが取れて、CO2の吸収能力も高まります。箸は間伐材の割りばし、ストローは草ストローを使い、テーブルや椅子、ピザ窯は地元の協力業者である村上製作所につくってもらいました。



生命の90%は森林の近くに生息しているそうです。森林再生こそが日本が取り組むべき最優先のことだと、小出さんは強く話されていました。



ワタミオーガニックランドの畑では、市内で排出されたごみを肥料化し、再利用しています。さらにこれから、雨水を循環・浄化し再利用する「バイオジオフィルター」の建設、水を風の力で循環させる揚水風車や、森づくりなどが行われていくそうです。園内で採れたオーガニック野菜は加工品として販売や輸出も視野に六次産業化モデルの拠点になることも目指しています。



園内では、野菜の収穫体験や植樹体験、ピザ作り体験、BBQなどが楽しめ、また来年には隈研吾氏設計の野外音楽堂を建設。市民の楽しみや他県からの集客で活性化に繋げて魅力ある場所へ。園内の食事やBBQも、今後はベジタリアン・ヴィーガン対応もしてあらゆる人が食事も楽しめるようにしていくそうです。



災害から蘇った陸前高田を、津波伝承館などとともに命のすばらしさを伝える場として、広島のように修学旅行の聖地にしたいと今後20年をかけてじっくりと整備・拡張・拡大を続けて”未来の風景”をつくっていく計画です。


未来の風景「ワタミオーガニックランド」


そこには渡邉美樹社長を筆頭にする大きな夢と、大切にする5つの命題があります


私たちには夢があります。

いつの日か地球が一つになること。

地球から悲しみの涙がなくなること。

地球に喜びの笑顔があふれること。


訪れる人全てが、楽しい思い出を作ってもらえるような場所であり続けます。


命題1

人は人として成長するために生まれてきた。その成長の「環境」を整え、「きっかけ」を提供します。


命題2

たくさんの生命が東日本大震災で失われたこの地で、訪れる一人一人が「生命」と向き合う場所であり続けます。


命題3

「環境」は、どうあるべきなのか、「食糧」はどうあるべきなのか、「エネルギー」はどうあるべきなのか、地球への提言の場所であり続けます。


命題4

世代を超え、国境を超え、人種を超え、あらゆる障害を超え、あらゆる人が集まる場所であり続けます。


命題5

子どもは、未来の地球に対してワクワクし、大人は、未来の地球に対して責任を感じる場所であり続けます。



震災から生まれ変わり進化する陸前高田。そしてコロナを経て、また新たに前進する陸前高田市とワタミオーガニックランド.まだスタートしたばかりのワタミオーガニックランドの未来へのビジョンとミッションを応援していきたいと強く思います。


 

ワタミオーガニックランド

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