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  • 執筆者の写真千葉 芽弓

金継ぎと日本人の心

The Vegetarian Chance Japan 2020で、藤田承紀シェフが金継ぎしたお皿を使い、それがまるでアートのように美しく、料理を引き立てていたことが記憶に新しいです。(藤田シェフの「しなやかに生きる」も是非読んでみてください。」


金継ぎとは、割れたり欠けたりしたお皿や茶碗などを修復することです。漆を使い、表面には金粉で装飾をする日本独自の伝統工芸技術です。それはアートであり、その作品の魅力と輝きが増すように思えます。



先日、私も体験教室に行ってきました。このように素人でもそれなりに出来て、愛用品が蘇り嬉しくなりました。


現代では欠けを埋めるパテと人工漆(うるし)のキットも販売されていて、家庭でも気軽にできるようになっています。愛着ある物を大切に思い、人の手が入ることで、より暖かみが増す気がします。


[金継ぎの工程]

まず作業に入る前にそれぞれの破片をよく洗い、しっかり乾燥させることが重要です。伝統的な工程を紹介します!

  • 破片を接着する:接着力をつけるつため、小麦粉を漆と水で練ったものを塗って、接着し固化させます。

  • 欠けを埋める:漆を塗った箇所を滑らかにするために、漆と米粒・刻苧(こくそ)綿・木粉を水で混ぜたもので、欠けた部分を埋めます。

  • 凹凸を埋める:錆漆を割れに沿って塗布し、乾燥後、研磨して平坦にします。

  • 下地を作る:金粉の発色をよくするため、漆を割れ目に沿って塗ります。

  • 金粉を撒く:継ぎ目に上から金または銀、白金などの金属粉を撒いて磨き、仕上げをします。

※漆は完全に乾燥していないと肌がかぶれることもあるので、取り扱いにご注意ください。



花は野に咲くように生け。

華美ではなく楚々とした自然美を大切にした千利休の言葉です。

茶道の世界の精神である「侘び」「寂び」。日本人の美意識と価値観のを表しています。


不完全ではないものにこそ価値と美を見出し、愛でた利休。

割れた名碗を慈しみながら、後世に遺しつづけている日本人の心のベースにあるものです。


筒井筒や雪峰といった文化財に指定された金継ぎの施された名品たちは、今も大切に受け継がれています。ものを大切にする「もったいない」精神だけでなく、経年劣化や変化を美しさと捉えて愛しむ、そんな日本人の心をこれからも大切にしていきたいですね。


ぜひ皆さんも金継ぎにチャレンジしてみませんか。


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