海のない信州・諏訪の特産物!棒寒天
- 千葉 芽弓
- 6月23日
- 読了時間: 4分
和菓子作りに欠かせない寒天。これからの季節、水羊羹、ところてん、みつ豆、寒天ゼリーなどつるりとひんやりした口当たりのデザートがとっても美味しくなります。寒天を使ったデザートは低カロリー、グルテンフリーで、腸にやさしいギルトフリースイーツの代表です。

寒天は原材料は海藻、その8割以上が食物繊維でカロリーはほぼゼロのヘルシー食材です。
現代人に不足しがちで、糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルに次ぐ第6の栄養素と言われる食物繊維が豊富な寒天を、糖質を気にする人、ダイエットや生活習慣病予防にごはんに炊き込んだり、スープや味噌汁に入れるなど最近では様々な使われ方をするようになっています。
寒天含まれるアガロースという多糖は、胃酸で分解されアガロオリゴ糖という抗がん作用がある成分になると言われており、素晴らしいスーパーフードです。

寒天は長野県茅野市を中心とした諏訪地域で製造される特産品です。信州長野には海がないのに、なぜ寒天が特産品?と思われるかもしれません。寒天の原料の天草をはじめとした海藻類は、国内または中国などの海で採集されたものです。
しかし、寒天作りには信州の冬の気候と環境が欠かせないとされています。諏訪地方は、日中と夜間の寒暖差が激しく、湿度が低く晴天の日が多いことが絶好の条件となります。乾燥して雪の少ない諏訪。寒天は夜間の寒さで凍り、日中に天日で乾燥することを繰り返すことでできあがるため、この寒暖差と八ヶ岳おろしのからっ風が必要なのです。また、寒天作りに欠かせない水は、八ヶ岳のきれいな地下水が豊富であるのも最適とされます。
寒天の起源
寒天は、平安時代に遣唐使が伝えたところてんを起源とすると言われ、寒い冬に京都の旅館が提供したところてん料理の残りを外に出しておいたところ、ところてんが凍り、昼には溶けて水分が出ることで繊維質だけが残り、それを水で煮たところ溶け、冷めると固まるということを発見したところが始まりだそうです。
そして水分が溶け出すことで本来の海藻の生臭さが消えるということに着目し、寒天の製造方法が生み出されたそうです。
ゼラチンと寒天の違い
寒天は天グサやおごのりなどの紅藻類の海藻なら植物性の食物繊維の粘性物質を取り出して作ります。一方、ゼラチンは豚や牛などの軟骨や筋肉の動物性タンパク質、コラーゲン質なので全く異なるものです。
寒天は90℃で溶けて常温でも固まり、一度固まると溶けません。ゼラチンは50-60℃で溶けますが、冷蔵庫などに入れ20℃以下でないと固まらず、一度固まってもあたたまるとまた溶けます。
寒天の食感は弾力がないため、ゼラチンで作るゼリーのようなプルンとした食感に近づけたいときは葛粉を混ぜて作るとよいでしょう。葛粉を混ぜることでより腸が喜ぶこと間違いありません。
アガーと寒天の違い
主に洋菓子や海外のプランドベース料理やスイーツに使われるアガーは、寒天同様に植物性で、海藻由来のものです。寒天はテングサやオゴノリなどから作られ、歯切れの良い食感が特徴です。一方、アガーはスギノリやツノマタなどの海藻由来のカラギーナンという抽出物にローカストビーンガムというマメ由来の抽出物を加えて作るゲル化材のため、ゼラチンに近い弾力とツルンとした食感が特徴です。
アガーは透明度が高いため、よりゼラチンに似た感じに仕上がりますので、用途に合わせて使い分けるとよいでしょう。
もう一つの特性として、アガーは砂糖と一緒でないと固まりにくい性質であるため、市販のアガーにはもともとに砂糖が入ったものが多々出回っていますので、気になる方は確認して購入するようにしましょう。
精製度合いが高いものや添加物を気にする人には寒天を使う方がおすすめです。

棒寒天の使い方
棒寒天は小さく手でちぎり、水でふやかす。
1の戻した寒天を手で水気を絞り、新しい水とともに鍋に入れ沸騰させ、2-3分ほど煮る。※寒天は90℃で溶けるので必ず沸騰させてください。
お好みのジュースやミルク、さらし餡などと一緒に溶かし固める。

今では便利で手軽な粉寒天が主流になっていますが、粉寒天は工場生産されたもの。伝統的製法の棒寒天を見直し、素晴らしい日本の叡智と気候風土から生まれた棒寒天をぜひ使い、夏のクールデザートを作ってみませんか?
おいしさも格段にちがいます!
日本人の長いと言われる腸には、寒天デザートがしっくりときます。昔から和菓子を食べてきた私たちは、オーブンで焼いた洋菓子より、固めたり蒸したりする和菓子がソウルフード。ぜひおやつに寒天デザートを見直してみましょう。
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