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種を守り、地球を守るグリーンフィールドプロジェクト

  • 執筆者の写真: 千葉 芽弓
    千葉 芽弓
  • 15 分前
  • 読了時間: 8分

本厚木駅からバスで30分。決してアクセスがよいとは言えない場所にあるグリーンフィールドプロジェクト。山があり、畑がある厚木という場所は、山や自然溢れる田舎と都会のコンクリートの世界の境目だから「ここ」なのだそう。




オーガニックの催事や、3月末に開催された自然栽培農家とつながるマルシェなどでご一緒し、圓場にも何度か作業のお手伝いに行かせていただいたご縁のあるグリーンフィールドプロジェクトさん。

 

自然に寄り添いオーガニック種専門の販売・企画をし、また、地域に寄り添い、5月から一般に向けて苗の販売をするのに多忙な時期に、本社にお邪魔させていただき、お話を伺いました!



人と環境のこれからのために。


海外の有機認証を受けたオーガニック種子と、日本で無農薬・無化学肥料で栽培された種のみを300種以上扱う種専門の珍しい会社です。ハーブだけで70種以上、国産と希少種は50-60種あるそうです。



種の有機認証は日本にはなく、グリーンフィールドプロジェクトで扱う種は有機のユーロ認証がついたものが殆どだそうです。

 

有機種子とは


  • 化学農薬・化学肥料を使用しない

  • 採取後の種に化学消毒しない

  • 遺伝子組み換えでない


種子のことを言います。

 

輸入した種たちは、温度と湿度をしっかり管理し、綿密な試験栽培できちんと発芽し生育する種を厳選し、販売されています。種はとてもデリケートで、その土地や環境に合うようになるには時間がかかるので、自家採取で繋ぐことで気候変動や環境の変化に負けない強い種になるのだそうです。



グリーンフィールドプロジェクトの創業者であり、代表取締役社長の松崎英さんにお話を伺いました。(写真:真ん中が松崎英社長。社員のみなさんと社屋の前で)
グリーンフィールドプロジェクトの創業者であり、代表取締役社長の松崎英さんにお話を伺いました。(写真:真ん中が松崎英社長。社員のみなさんと社屋の前で)

種で生計を立てられるビジネスモデルをつくる


■なぜオーガニックの種の会社をはじめようと思ったのか、創業経緯を教えてください。


前職は保険・金融のサラリーマンをしていました。メキシコ駐在の時、趣味で家庭菜園をしたのが最初の農と関わる発端でした。メキシコは貧富の差がとても激しく、それを目の当たりにしてフェアトレードに興味を持ち始め、漠然とそういう問題を緩和できるようなことを仕事にしたいと思っていました。フェアトレードは農業に直結していたため、認証問題を知り、農業に傾斜していったわけです。

 

売ることで、売れただけ世の中の役に立つものを商売にしたい。農業で環境配慮して儲かるビジネスをしたいと思いはじめました。私は、福岡市内出身だったので農業についての知識がありませんでした。だからこそ有機がいいと純粋に思ったのです。

 

天草でみつのぶ農園という種屋をやってる友人がいて、農協にも卸すような会社だったので、39歳でそこに入り、環境にやさしいことをやりたい!環境配慮型ビジネスをやってみようとそこに入社しました。その会社は種だけでなく、農業資材屋だったので、農薬も扱っていたためビジネスとして成り立っており、いろんなことを俯瞰して見ることができ、勉強になりました。

 

種屋の店頭で育てた野菜を売る八百屋みたいなことをしてみたがうまくいきませんでした。

 

そんな頃、資材屋の一人に有機の種があると聞き、種は源であり特別な存在だと思っていたので、みつのぶ農園で働きながら、紹介された欧州の種の輸入販売をスタートしました。

 

私は幸いアメリカの大学をでているので語学に長けてため、ヨーロッパにいき、イギリスからイタリアまで自らの足でまわり、オーガニックの種の輸入を少量からスタートしました。

有機JAS法にも、有機は種からと書いてあるのにそれをやってないのはおかしいと思い、最初10種の種から展示会で販売をスタートしました。



■なぜ厚木に本社を置いているのですか?

 

創業当初、まとまって買ってくれるのは大手の種苗会社で、やはり主軸で売れるのは関東圏だったので、6年前に厚木の今の場所に拠点を移しました。厚木という場所は、取引先である大手種苗会社や販売店が関東に多く、また農家や畑にも近いという面でも都合がよかったのです。

 

■貴社の商品はデザインも素敵でとても洗練されていますよね。

 

たくさんの人に手にとってもらい、ちいさくプランターで育てるところからでも始めてもらいたいと思い、デザインもこだわって、ギフトにもしやすいようにしています。



和紙の名刺やカードに種を埋め込んでそのまま土に埋めて育てられるものや、ノベルティ、障害者雇用で手作りしてもらっているガチャガチャなども、今まであまり興味を持ってもらえていない層や、お金のあるところに普及させるためでもあります。



土に還る米由来のプランターの栽培キットや、不織布のプランター、室内で水で育てるスプラウトのキットなど、都心でも育てやすく、育ててみたくなるような商品も揃えています。



今度、土の渇きを測定できて水やりのタイミングを教えてくれる水分観測棒も発売をスタートします。



売れて持続可能でなくては成り立たない。社員を食べさせていくために、ビジネスとしてちゃんと成立し続けることはとても大事なことだと思っています。



時代の流れに乗る。


コロナパンデミックやウクライナ戦争は有機の種に追い風となりました。ステイホームやリモートワークなど外に出られない期間に園芸、家庭菜園が増えたり、また食料危機問題からも育てることや農的なことが注目されるようになりました。

 

みどりの食料システム戦略から更に有機農業・有機栽培の普及が広がってきています。オーガニック給食や街を上げてのオーガニックタウン宣言なども増えてきています。

 

■種の輸入や保管は大変ではありませんか?

 

輸入した種はそのまま売れば良いわけではなく、その中から環境にあったものを選抜し、種をつないで日本の環境へ適応させなくてはなりません。そして、サカタのタネなどに負けない、生育がよく収穫量も安定したものを作らねばなりません。種は湿度と暑さに弱いので、湿度と温度を一定に保った自社倉庫でしっかり管理しています。



■輸入だけでなく固定種・在来種の種を守る活動について教えてください。


日本の土地土地にある在来種の種がなくなりつつあります。

 

在来種野菜とは、その土地の気候風土に長い間適応し、代々自家採種し育種されてしたもの地方それぞれが育ててきたその土地にあった野菜たちですが、食味がよく好まれるように品種改良されたものに圧倒され、流通されることは殆どなくなっています。

 

たとえば大根は、白くて太く大きくまっすぐで水分が多く甘いものが主流です。在来種の辛味大根などは固く辛味が強く小さいから売れにくく、そういうものはスーパーに並ばない。

しかし、そういった伝統野菜の在来種を守ることは、地球環境を守ることや食料安全保障にも繋がると言われています。

 

グリーンフィールドプロジェクトでは、在来種を繋ぐために全国に足を運び、農家さんに眠っている種を買付けにいっています。買い取ることで農家さんの収入にもなり、高齢化で農業を続けられなくなる農家さんの大切に繋いできた種を、代わって未来に繋いで行くことができます。

 

少しずつですが、資源を守ろうということに補助金がでたりするようになってきています。



長野県辰野町での新たなスタート!


ご縁あり、長野県の辰野町にも拠点を作り、辰野町のオーガニックビレッジ宣言にのって種取りの畑をスタートされています。

 

種取りはとても難しいそうです。育種家のブリーダー、自然農法国際産業センター、有機に興味のある採種事業者とタッグを組んで育種採種を進めています。

 

今後の夢とビジョンについて、とお聞きすると、「すごく大がかりことではないですが、有機栽培・自然農法でもちゃんと育つ種をつくること、在来種を繋ぐことを着実にやっていきたいです。ライフスタイルで多様性を楽しむことを創造できる会社になることです。」と笑顔で答えてくださいました。



共存共生


話の中で、この気候変動や自然災害の問題の中、F1種や一般的な慣行栽培も絶対必要であり、共存していくことが大切だと言うこと、有機の種を正当化し、あまり前に目立てば、それらを否定することにも繋がりかねないので、あまり派手に目立つことはしたくないと語られていました。華美でなく地に足をつけて、社会問題解決に貢献する多様性対応する素敵な会社です。



今、若い人たちが環境問題や種にも興味を持ち、自ら志願して会社にジョインしてくる人も多いそうです。ちっちゃな宝石のタネを扱う細かい作業、畑や田んぼの農作業、地域を巻き込む啓蒙活動、家庭菜園や育てるためのオンライン・オフライン講座までひとりひとりが奔走する熱い会社にお邪魔させていただき、その若い人たちのエネルギーに触発されました。

 

米不足や食糧危機などに不安を感じるよりも、少しずつでも食べるものを育ててみることをやってみたら、気持ちも豊かになるに違いありません。種は1袋300円ほど。プレゼントしたり、種を分かち合ったりしていきたいです。

 

グリーンフィールドプロジェクトでは圓場や田んぼでの体験ワークなども行っています。ぜひインスタグラムなどでチェックしてみてくださいね。


[株式会社グリーンフィールドプロジェクト]

・公式サイト

・Instagram



※「みどりの食料システム戦略」とは

農林水産省は環境負荷の小さい農業の実現などに向け、令和3年5月に「みどりの食料システム戦略」を策定し、本戦略を推進するための新法が令和4年4月22日に国会で可決されました。2050年までに国内における有機農業の取り組み面積を全農地の25%(100万㏊)に拡大する目標を掲げました。


※「オーガニックビレッジ」とは

これまでの有機農業者個々の取り組みの推進に加え、より強固な生産、加工、流通、消費まで一貫し、農業者のみならず事業者や地域内外の住民を巻き込んだ地域ぐるみの取り組みを進める市町村のことを言います



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