ふんわりと焼きいもの香りが鼻腔をくすぐるこの頃。甘いさつまいもが大好きな人は多いと思います。
戦後生まれの人の中には、食料難のときに米の代わりに食べたさつまいもを、当時を思い出すとか、いやというほど子供の頃食べたから、と嫌がる人もいますが、それも今や昔のこと。
さつまいも(別名:甘藷、唐芋)は改めてそのおいしさや栄養効果、優れた食材として見直され、アスリートやボディメイキングをする人たちの中でも人気の食材となっています。さつまいもはスイーツに匹敵する甘さを持ちながらも、カロリーも低めでノンコレステロール。食物繊維、ビタミンCやカルシウムなども豊富で、消化吸収が緩やかで血糖値を急激に上げにくく、長時間エネルギー源として働く、持久力のある食材です。
さつまいもは大腸で腸内有用菌に発酵され、腸内細菌の餌になる発酵性食物繊維や軟化性でんぷんが有効に働くと言われています。
特にじっくりと加熱することで有効成分が引き出されやすくなるそうです。
[荒地でも育つ生命力]
島国で火山国である日本。その自然と寄り添い生きてきた日本で、過去の凶作、飢饉、災害字に何度となく日本人を救ってきたさつまいも。江戸時代の三大飢饉と言われる、西日本で発生した虫害による「享保の大飢饉」、浅間山の噴火と噴煙被害による「天明の大飢饉」、長雨と冷害による「天保大飢饉」の時、そして第二次世界大戦の戦中戦後の食料難を救ってきました。食料自給率か37%と輸入依存の大きい日本で、食料危機に陥った場合、農水省のシミュレーションでは、カロリーや栄養価の高い「イモ類等」を主食にする食生活を提案しているそうです。
※参考資料:農林水産省「緊急事態食料安全保障指針」(2021年7月)
世界では10億人を超える飢餓人口や栄養失調で苦しんでいる人がいます。一方では飽食の先進国では、動物性食品や加工食品の過多により、腸内環境が乱れていると言われています。いずれにも、さつまいもは美味しくて有効な優秀食材として更に注目されていくことでしょう。
落ち葉を集めて焚火で焼きいもを作る。そんな昔懐かしい光景と体験をしたいな、と思う霜月です。さつまいもを食べて腸内環境を整え、本格的寒さを迎えるこれからに備えて免疫力を高めておきましょう。
【サツマイモの主な品種紹介】
紅あずま
水分が少なめで繊維質な感じ。ほくほくとして加熱することで甘味が増す。
焼きいも、大学芋、スイートポテト、さつまいもご飯など
紅はるか
濃厚な甘さがスイーツのよう。バランスよくほくほく感も残る比較的新しい品種で万能でどんな料理にも合う。
干しいもの品種としても人気
シルクスイート
なめらかでしっとり、ねっとりとした食感と舌ざわり。収穫後寝かしておくことで、しっとりとし、より甘さが増す。昨今人気の品種。
安納芋
甘味がとても強く、水分量が高くてねっとりとした食感と黄色さで人気。
焼きいもや干し芋などそのままを生かして食べるのがおすすめ。
パープルスイートロード
果肉が紫色の品種で、アントシアニンやポリフェノールを含み抗酸化作用が高い。
甘味は少なめだが、美しい色合いで、スイートポテトやプリン、紫芋のチップスなどで人気。
皮もアントシアニンなどの栄養が凝縮しているので、きんぴらやチップスなどにして、全部無駄なくいただきましょう!
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