海外からみた日本食のイメージは、天ぷらや寿司を思い浮かべる方が多いと思う。和食がユネスコ無形文化遺産に指定されてからUMAMIという言葉が世界中で使われるようになった。
日本食で欠かすことのできないものは、日本の発酵文化
古来から調味料として使われてきた酒、味噌、醤油といった発酵食品は、国菌である麹菌から作られる。発酵食品を作るときは、米や大豆、塩といった食材の質も重要だがそれ以上に発酵を行う環境が大切だと思う。
建物の梁や壁、空気中に存在している常在細菌の中には発酵に適した良い菌もいれば、カビや腐敗を引き起こす悪い菌もいる。
また人間の身体や口内、腸内にも常在菌が存在している。
虫歯菌、腸内細菌、腸内フローラなどといわれ、悪玉菌、善玉菌などの呼び方で一般的に聞いたことがある方も多いと思う。
しかし、自然界の菌や微生物の世界では悪玉も善玉も無く、すべての菌や微生物がバランスをとって環境を作っている。
人間の都合で悪玉菌だの善玉菌だのと言っているだけのことである。
腸内細菌の中にいる日和見菌がどちらに傾くかで腸内環境が変わるのである。
腸内環境を生活環境に例えて考えてみると自前で味噌や糠床を作ったとき、カビが生えたり上手く発酵しないのは常在菌が悪玉に傾いているので、善玉菌が増えやすい環境を作ってあげれば良い。
生活環境を発酵に適した環境にするのは、味噌や糠床、甘酒など発酵物を常時作ることで変えられる。
酒蔵や味噌、醤油蔵が何百年も発酵を続けていけるのは、作り続けることで常在菌を育てているからである。
菌の中には、細菌、バクテリア、ウイルスなどがいる。
乳酸菌など人間にとって良い菌もいれば、食中毒や病気を引き起こす悪い菌もいる。
このコロナ禍では除菌、無菌とシュッシュとやるが、これは良い菌も殺しているのである。
人間にとって必要な有用菌を除去したり、免疫を下げていることで病気やウイルスを引き寄せる。
発酵の世界では、納豆菌や乳酸菌など菌の中で優位に立てる菌がいる。
腐敗を起こさず、悪い菌の増殖を抑える働きがある。
また、人間にとってこれらの菌は免疫力を上げ、外敵(ウイルス)から身を守ってくれる。
人は、食べることで生命を維持している。
しかし、食べるもののチョイスの仕方によって病気にもなるし、健康にもなれるのだ。
何を食べるかは自分で選択できるのだから。
世界中が新型コロナウイルスによって分断されている中、食生活を見直すことで予防できることがあるのではないだろうか。
テキスト/平田 優(古民家レストラン HAZE はぜ)
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