新茶の季節です。茶摘みの歌にある、「夏も近づく八十八夜」は、立春から88日目、2023年の八十八夜は、5月2日です。二十四節気の雑節の一つで、農業では田んぼに籾をまき、夏の準備を始める頃とされます。
今は、新茶は茶摘みをして、すぐに乾燥させたものを新茶として販売していますが、昔は5月に収穫したお茶をすぐには飲むことはありませんでした。
江戸時代は、毎年新茶の季節になると、宇治から茶葉の生育状況の報告を受け、4月下旬から5月のはじめ頃、江戸から宇治に使者が発ち、5月に収穫した茶を茶壷に入れてもらい、江戸まで持ち帰り届けさせました。この行事を「茶壺道中」といいます。
「茶壺道中」はとても権威の高いものとされ、茶壺が通行する際には、大名らも駕籠を降りなければならず、街道沿いの村々には街道の掃除が命じられ、街道沿いの田畑の耕作が禁じられたほどです。
「ズイズイ ズッコロバシ ごまみそズイ 茶壺におわれて ドッピンシャン ぬけたら ドンドコショ」
このわらべうたは、「茶壺道中」が通り過ぎるまで、沿道の家では扉をしっかり閉めて通りすぎるまで静かに待つ様子を表し、田植えで忙しいこの時期に、百姓たちが「茶壺道中」を風刺した歌とも言われています。
茶摘
夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは
茶摘じゃないか
茜襷(あかねだすき)に菅(すげ)の笠
日和つづきの今日此の頃を、
心のどかに摘みつつ歌ふ
摘めよ 摘め摘め
摘まねばならぬ
摘まにゃ日本の茶にならぬ
新茶は渋味成分のタンニンが少なく、「テアニン(アミノ酸)」」という旨み成分が多く含まれて甘みがあるのが特徴です。「八十八夜に摘まれたお茶を飲むと病気にならない」とも言われています。茶摘みの様子を思い浮かべ、新茶の香りと旨みを味わってみませんか?
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