こだわり自家製天然酵母のVEGE BAKERY「Farinette (ファリネット)」
- 千葉 芽弓
- 6月30日
- 読了時間: 6分
VEGE BAKERY Farinetteは、千葉県八千代市、京成電鉄の八千代台駅から5分ほど、商店街のはずれにある小さな小さなパン屋さん。

ヴィーガンのパン屋さん都内にもいくつかありますが、このパン屋さん、すごいんです!!国産小麦のみを使用し、自家製の天然酵母で発酵させ、出来るだけ地産の野菜をはじめ有機の食材でつくる乳製品・卵・白砂糖を使わないヴィーガン専門のこだわりのお店です。

ローカルな住宅地に、見落としてしまいそうな白いかわいいお店は、火曜日と金曜日の週2日のみ、手作り・無添加・旬にこだわるパンたちが並びます。営業が週2日なのは、天然酵母の自然な力で自然な形で発酵させ、パンを焼くまでに5日間かかるからなのだそう。
"タイパ"重視とされる現代には考えられないやさしさです。

偶然発見した、内緒にしておきたいけど、みんなに知って欲しい!!という素敵なベーカリーです。
自然なものに勝るものはない
Faritteの名前の由来は、フランス語で「小麦を扱う小さな場所」。ショーケースに並ぶパンたちはどれもとっても美味しそう。

ここ数年、ヴィーガン専門のベーカリーは増えていますが、自家製の天然酵母で、加工品のVEGANチーズやVEGANバターも使わない、旬に寄り添い旬の食材のみを使ってひとつひとつ丁寧につくるパン屋さんは他にはないでしょう。
初めて食べた時のそのふんわり軽くやさしく、雑味のない心が緩むようなパンに驚きました。天然酵母パンはどっしりとしがち、そして固くなりやすいイメージがありますが、ここのパンは翌日でもふわふわ。とにかくおいしい。5日間かけじっくり自然発酵させるからこそのこのクオリティ。

オーナーの綱島久枝さんは、もともとパンが大好き、ご主人が転勤族であり環境の変化や食生活から不調を感じ、マクロビオティックを学んだそうです。今も食に対する考え方はマクロビオティックの考え方に準じており、地元で採れる旬のものをなるべく自然な形で、自然の力を生かしきることを大切にしています。
マクロビオティックではパンをあまり推奨していない…。しかしパンが好き。
ご自身のためにも、そういう人のためにもカラダにやさしくておいしいものをつくりたいという想いでお店をスタートしています。久枝さんの最初のパン作りはホームベーカリー。パン屋さんでのバイトを経て、そこから天然酵母を自分で起こすことができると知り、グリーンレーズンで酵母を起こし、独学でご自身のパン作りをはじめ、探求されてきています。

「チーズパンに入れるチーズは有機豆乳をベースに、様々なネットなどでの情報をもとに研究し色々な素材を組み合わせ、本物のチーズに近い風味と口溶けにしました。卵は豆腐でつくっています。旬のフルーツは素材そのものの美味しさを感じていただくために最低限のてんさい糖などでジャムやコンポートにしています。」
「旬のものを旬の一番おいしい時に食べていただきたい、だからその日その時に手に入るおいしい野菜や果物を使ったパンを提供しています」
「ここ八千代市は農家さんもまだまだ多く、豊富な農産物が手に入り、こだわりの有機農家さんも多々います。そんな生産者さんたちの育てる旬の野菜や果物を使ったパンを含め、20〜25種類ほど焼いています。」
素材の美味しさが引き立つナチュラルブレッドたち
かく言う私も大のパン好き。思春期からパンと乳製品が好きでたくさん食べて体調が悪く、鼻炎もちでした。久枝さんと同様そこからマクロビオティックを学び、パンの常食をやめ、食を正して今に至ります。

私は好きだからパンを焼いたら誘惑に負け自分でたくさん食べてしまう!と思いパン作りだけには手を出していません。それだけのパン好き、しかも食通なので味にもうるさいことを自負しています。そして…。出会ってしまったおいしくて可愛いパンたち!

チーズがクリーミーな本当にとろけるチーズで違和感が全くなく、しかもたっぷり入っています。多々あるヴィーガンメロンパンも食べてきていますが、Farinetteのメロンパンのフィリングは食感も味も極上です。
カレーパンのカレーは玉ねぎの甘さが生きていて、お豆がたっぷりの旨味で食べ終えたあとはスッキリ。絶妙なバランスのとれた美味しさです。ハードパンや山型食パンは外はパリッと香ばしく、中はもっちりふわふわ。

新玉ねぎが乗ったたまねぎパンなど、全部制覇したくなります。あぁ、美味しくて食べすぎてしまう…と自制してストップをかけました。オープンで焼かない蒸しパンもあるので、小さなお子様にも嬉しいですね。
無理なくできることを。
Farinetteのオープンは2020年。そう、コロナパンデミックのとき。住宅地だったからこそ、着実にファンを増やし、地元の方に愛され、そして遠方にも口コミで伝わっていったのでしょう。

ご縁あり暮らす八千代台。たまたま近くにあった閉店間際のパン屋さんから廃棄するというパン釜をいただくという導きがありオープンに至ったそう。パンは発酵食品。自然の力でじっくり発酵するのを待って、自分が楽しみながら大好きなパンを焼きたい。そんな愛と想いのこもったパンを必要な方達に届け、"おいしい"と喜んでもらいたいからだそうです。
ご自身が疲弊して作ったら、それはやはりパンにも伝わり違うものになる。そのことを一番わかっているからです。食べたときに"やさしさ"を感じるのは、作り手の手からのエネルギー。
食べ終えて、お腹はいっぱいなのに胸焼けがしたり、満たされない感覚があるとか、心がザワザワしたり…。そんな経験のある方もいるでしょう。たとえばファストフードのハンバーガーとポテトをかき込んで食べた時の感覚。それはみんなエネルギーなのです。
人が2人入るのがやっとのちいさなお店だからこそ、お客様一人一人の顔をみながら、対話やコミュニケーションを大事に、こころもからだも満たして幸せになるパンを焼き続けていきたい、と久枝さんは言います。

オープンの熱で工房の中はかなりの暑さになるこの季節。しかし自分の作るパンを子育てするかのようにひとつひとつ大切に愛しんでつくっています。

わざわざでも買いに行きたい、そんなすてきなベーカリーです。ハード系のパンは午後からの提供になります。欲しいパンは事前にお取り置きしておいていただくと確実に買うことができます。
追加情報ですが、Farinetteはイートインはできませんが、駅直結の京成のショッピングモールの地下1階にはコミュニケーションフードホールがあり、テーブルもたくさんあるので、持ち込みでのイートインもできるスペースがあるので、買ってコーヒーと一緒にいただくのもおすすめです。
VEGE BAKERY Farinette(ベジ ベーカリー ファリネット)
住所:千葉県八千代市八千代台北5丁目8−13 グランド・メゾン 101
営業日:火曜日、金曜日11:30〜19:00
[Instagram]

コメント